「外堀か…」
ひとまず、実家に連絡をいれ、今回の件と婚約解消をすることを伝えた。
両親はひどく驚いていた。後日きちんと会って話をすることを約束した。

ビチ子の実家に電話をするのは、かなり勇気が要った。
電話には、ビチ子の母が出た。
「おはようございます。朝早くからすみません」
「ちょっと!俺男さん!どういうこと!?ビチ子が昨日の夜泣きながら帰ってきたんだけど!」
「はい。その事でお話が…実は、ビチ子さんがその…浮気をしていまして…」
「浮気!!?うちのビチ子が浮気なんてするわけないでしょう!?」
「それが、僕もそう思っていたんですが、事実なんです。証拠も押さえてしまいました」
「何かの間違いでしょ?」

「俺男さん!?実家に電話するなんてどういうこと!?」
ビチ子の叫び声が聞こえた。
どうやら母親から電話をひったくったらしい。
「お前とは話をする気はないよ。とりあえずお義母さんに変わってくれないか?」
「なんでこんなことするの!?」
「なんでも何も、俺はするべきことをしているだけだよ」
「なによー!!私の電話には出てくれないくせに!」
「変わってくれないなら切るぞ」
「いや!ちゃんと話してくれるまで、切らない!」
「冷静になってくれないと、話すことも話せないよ」
「なんでよ!俺男さんが悪いんでしょ!」
「俺が?なんで?」
「俺男さんが私に浮気させたんだから!」
「は?お前なに言ってるんだ!」
「別れるなんて絶対いや!!」
ビチ子が支離滅裂なことを言い出したので、俺はもう無理だと判断し、電話を切った。

切った直後から、ビチ子の携帯電話と、実家からおびただしい量の着信があったので、
一旦着信拒否にした。ビチ子からのメールは念のため取っておいた。

「外堀を作るってのも大変だな…」
母親の様子からすると、ビチ子の両親はおそらく俺が悪いと勘違いをしているだろう。
電話では、先ほどのように話にならない可能性があったので、
ビチ子の両親あてに、事細かに事情を書いたメールを送った。
証拠の動画データを送るにはさすがに気が引けたので、
ひとまず、証拠隠滅メモの写真だけ送っておいた。

その後、法テラスを使って色々と調べ、手ごろな弁護士に連絡を入れた。
証拠が十分に揃っており、敗訴の可能性が極めて低いため、快く相談に乗ってもらった。
弁護士費用をビチ子側に請求することも可能だと教えてもらってので、
弁護士費用には糸目を付けなかった。