ビチ子が泣きながら寝室を走り去って行った。
その途端、リビングからビチ子の悲鳴が聞こえた。
「ちょっと!!!!あんた人の携帯で何してんの!!?」
あわててリビングへ向かうと、A男がビチ子の携帯と、おそらくY男の携帯をPCへ繋ぎ、何やら作業をしていた。

「いやー、こんなメモ作るくらいだからさ、証拠集めはしっかりしておかないと、と思って」
と言うとA男は俺にメモを渡してきた。

『1.俺男の夕飯・お弁当を準備しておく。(必要なら)
2.Y男の食器類片づける。
3.お風呂でアザの確認(特に背中!)』
4.ゴミ箱の中身捨てる。
5.トイレの便座を確認。
6.メイクを落としてバッチリ俺男をお迎え!』
どう見ても、証拠隠滅用のメモだった。

ビチ子は俺の手からメモをひったくり、
「人の携帯を勝手に見るなんて犯罪よ!!!」と叫んだ。
「他人の携帯見るのと、浮気して証拠隠滅工作する事のどっちが悪いかは、一目瞭然だろ?
ちなみにメモも写真に撮ってあるから、破っても燃やしても無駄。
あれ?俺男、俺の携帯は?」
動画を撮影したままのA男の携帯を寝室に置いてきたことを思い出し、慌てて取りに行き、A男に手渡した。
A男は、数分間携帯を操作し、俺に向かって親指を立てた。

動画がうまく録れたという意味だろうか?
少なくともビチ子はそう判断したらしく、A男の携帯をひったくるととんでもない行動に出た。
A男の携帯をキッチンに投げ込み、水を掛けた。
返す足でコップに水を組み、PCにも水を掛けた。

携帯はおそらくアウトだろう。
コップ一杯の水ではPCは壊れなかったため、ビチ子はPCを地面へ何度も叩き付けた。
ディスプレイが消えた事を確認すると、ハアハアと肩で息をしながら、こちらを睨んできた。

「あーあー」
A男はキッチンから携帯を救出し、
「壊れちゃった」と肩をすくめた。
「自業自得でしょ?」
「ネットにアップしておいてよかったよ」
その途端、ビチ子の顔色が変わった。
「ネットに上げたの!!?信じられない!!」
「上げたって言っても、俺の個人サーバーだから安心して。まあ、逆に言うと俺にしか消せないんだけどね。