そろりそろりとリビングへ進むが、ビチ子たちの姿はなかった。
代わりに、寝室から、ビチ子の声が聞こえてきた。
「いいなー。俺もこんないい家住んでみてーよ」
「うふふ。いいでしょ。ダダこねて買ってもらった甲斐があったよー」
「やっぱり男は金だよなー。金さえあれば俺だってビチ子にいい思いさせられたのによー」
「Y男は、体が資本だからいいの!俺男もY男くらい上手だったら最高なのになー。数だけで質が全然なんだもん」
「おいおい、浮気相手の前でそれ言うか?さすがに傷つくわー」
「いいじゃん!Y男は二番手だもん。でも、二番手だって浮気くんたちの中では一番なんだよ?光栄でしょ?」
「女は怖いねー」
「持って生まれた物を有効活用しなきゃもったいないでしょ?
俺男は綺麗で家事もばっちりのパーフェクトなお嫁さんを貰って、
Y男は、私のお金と体と家でいいとこ取り!U男はY男の補欠で、ちょっといいとこ取り!誰も損してないじゃない?一妻多夫!持ちつ持たれつってやつよ」
「怖え怖え。じゃあ俺はビチ子のいいとこもう一回もらおっかな」
「ちょっと…もうだめ!お風呂入って、シーツ洗って乾燥までしなきゃいけないんだから!」
「そんなのあとででいいじゃんかー。もっかいしよー?な?」
「だめだってば!バレたら元も子も無いんだから!偽装工作するのって結構大変なのよ!?」
「わかったよ。何か手伝おうか?」
「じゃあ、そのメモの4番と5番をやってくれる?」
「はいはい」

「おい…!俺男!俺男!」
ボーっとしていて、A男が小声で呼びかけているのに全く気が付かなかった。
「あ、うん…」
「お前、どうしたい?」
「え?」
「俺はビチ子と浮気男を殴りたい!でもそれは俺の仕事じゃない。お前はどうしたいんだ?」
「えっと…あの…」
「ちっ…。わかった。お前はそこで待ってろ!」

そういうと、A男は寝室のドアを勢いよく開けた。
A男の影から、裸で悲鳴を上げるビチ子と浮気男の姿が見えた。
ビ「きゃ!何なのあんた!!」
浮「え?え?ビチ子…これ、旦那?」
ビ「知らない人!!!ちょっと出てってよ!警察呼ぶわよ!」
A「呼ぶなら呼べよ!お前らこそ何やってんだ!」
ビ「不法侵入者に言われたくないわよ!!!ほんとに何なのあんた!」